突然「来週から来なくていい」と言われた

 解雇には正当な理由が必要であり、法律によって厳しい制限があります(労基法第18〜19条、104条、均等法第8条など)。パートだからといって手軽にクビにできるわけではありません。しかし、解雇予告手当さえ払えばいつでも解雇できるといった認識の使用者が多いことも事実ですから、突然の事態への心構えは必要。「明日から来るな!」と言われても、うかつに「はい、わかりました」などとは決して言わず、まずは解雇の理由をたずね、“納得がいかない”ことを意思表示した上で、今後の策を練りましょう。

首を切る(=解雇)と、「辞めてくれ」(=退職勧奨)とは違います。



派遣契約中に中途解除された

派遣先との契約が中途解除された場合、派遣会社は他の派遣先を見つける努力をしなければならず、見つからなかった場合には、残りの雇用期間に対する休業手当をスタッフに払う責任があります(労基法第26条 休業手当)。また派遣会社には、派遣スタッフが請求した場合には解雇理由を書面で明示する義務があります(派遣法第22条)。 ともあれ、派遣の中途解除は派遣先の一方的な都合によって行われることもあります。この場合は、解除理由をめぐって正当か否かを争うことも可能です。

採用時に提示された労働条件と、実際の仕事の内容が違う

アルバイト・パートの場合、労働契約締結時に労働条件通知書がもらえない時は、求人広告やハローワークの求人票に記載されている事項が労働条件となるので、労基署やハローワークに訴えるときに備えて、給与明細等も求人広告も必ず保管しておきましょう。

派遣の場合は、就業条件明示書に記載のある業務以外はする義務はありません。しかし派遣法改正により、専門業務に携わる派遣社員でも、業務全体の1割程度の一般業務は認められることになりました。契約以外の業務を命じられたときは、その内容・時間を記録しておきましょう。

仕事中に破損した物の代金を、給料から弁償させられた

労働者の過失により使用者が重大な損害をこうむるような場合は別として、通常のアルバイトで起こる程度の損害分を、使用者が勝手に給料から差し引くような行為は無効です(労基法第24条)。また、採用時に「過失は給料から天引き」等と契約書に記したり言ったりすることも違法(労基法第16条)。決して認めず、もし引かれていたら労基署に指導するよう「申告」するか、「はけん・パート関西」に相談しましょう。

セクシュアル・ハラスメントを受けた

派遣やパート・アルバイトに対するセクシュアル・ハラスメントは、その孤立しがちな立場につけ込み、「うちの社員ではないから」「一時的な雇用だから」という差別意識によって助長された卑劣な行為です。また、すべての女性にとって最大の人権侵害であることは言うまでもありません。相手に対して毅然と「NO!」の意思表示をしたくても、拒否できない状況で起こることが多いのが現実。しかし泣き寝入りは心の傷を深め、心的障害(PTSD)が残ることもあります。一人で悩まず、すぐに「はけん・パート関西」に相談しましょう。

 被害を実証するためには、受けた行為の記録を残しておく必要がありますが、精神的につらければ信頼できる人に話し、代わりに記録してもらってもかまいません。気持ちを整理した上で具体的な要求をまとめ、対応を話し合いましょう。

 使用者には、「職場におけるセクハラ防止のために雇用管理上必要な配慮をする義務」があります(男女雇用機会均等法 第21条)。派遣の場合も、セクハラ防止の義務は派遣元はもちろん派遣先も負うものとされています(労働者派遣法 第47条)

妊娠を告げたら解雇された 産休を申請したら契約更新されなかった

母性保護に関する法律は、正社員・非正社員の区別無く、すべての女性労働者に適用されます(労基法第65〜67条、均等法第22〜23条)。しかし、「産前産後休業中とその30日前後は解雇してはならない」と定められているにもかかわらず(労基法第19条)、実際は妊娠を告げた途端に退職に追い込まれたり、次の契約更新時に雇止めに遭ったりするケースが多いのです。

法律で権利が保障されていても、短期契約で働くパートや派遣には権利行使がしにくいのも事実です。上司に話すタイミングを考える(契約更新後にする)など、解雇できない状況をつくるのもひとつ。それでも雇止めされたら不当解雇です。経緯をきちんと記録し、「はけん・パート関西」と共にたたかいましょう。

雇用保険・社会保険に入れるか

パートや派遣であっても、一定の条件を満たせば雇用保険や社会保険への加入が認められます。自分の働き方を確認してみましょう。5人以上の労働者を雇っている会社は、すべて適用されます。

■雇用保険

労働者が退職または解雇や倒産などで失業した時、必要な給付金を受ける制度です。一人でも雇っている事業主は加入義務があります。
 ・アルバイト・パートタイマー・契約社員などの非正社員
       @    1週間の所定労働時間が20時間以上
       A    1年以上引き続き雇用されることが見込まれる
 ・派遣社員(登録型)のばあい
    上記@の他、同じ派遣元事業主に1年以上引き続き雇用されることが見込ま

れる者。事例としては、契約と契約との間に間隔があっても、雇用契約期間2ヶ月程度の就労を1ヶ月程度以内の間隔でくり返す人、雇用契約期間1ヶ月以内の就労を数日以内の間隔でくり返す人はこれに該当。

■社会保険(健康保険・厚生年金保険)
   病気やケガで働けない時、出産した時には、健康保険による給付が受けられます。
    厚生年金保険は、年を取った時、障害者になった時などに給付金が支払われます。

@ 雇用期間が2ヶ月を超える
A 1日または1週間の勤務時間が、その事業所の正社員の所定労働時間(契約上働く事が予定されている勤務時間)のおおよそ4分の3以上
B 1ヶ月の勤務日数が、正社員の所定労働日数のおおよそ4分の3以上

 なお上記の要件に該当せず、年収が130万円未満である場合は、配偶者などの被扶養者となります。それ以外の人は、国民年金の加入対象となっています。

有給休暇(年休)は取れるか

パートやアルバイトや派遣で働く人も、6ヶ月以上継続勤務し、全労働日(働く義務のある日数)の8割以上を出勤していれば、10日間の年次有給休暇が発生します。契約更新のときに数日の間隔があいていたとしても、実態が6ヶ月以上の勤務であれば該当します。給付日数は、勤続年数や1週間の所定労働日数によって定められます。

年休は、会社によって有る、無いというものではありません!ただし、申請しないと権利は発生しませんのでご注意ください。

1週間の所定労働時間が30時間以上、または1週間の所定労働日数が5日以上
   (年間217日以上)の労働者は、通常の労働者(正社員)と同じ日数です。

勤  続  年  数

 6ヶ月

1年6ヶ月

2年6ヶ月

3年6ヶ月

4年6ヶ月

5年6ヶ月

6年6ヶ月〜

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

1週間の所定労働時間が30時間未満で、1週間の所定労働日数が4日以下
   (年間216日以下)の労働者

週所定労 働日 数

年間所定労働日 数

        勤  続  年  数

6ヶ月

1年

6ヶ月

2年

6ヶ月

3年

6ヶ月

4年

6ヶ月

5年

6ヶ月

6年

6ヶ月〜

4日

169〜216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

121〜168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

73〜120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48〜72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

有期契約で働く前に

◎労働条件通知書、就業条件明示書

 使用者は労働契約を結ぶとき、労働者に対して賃金・労働時間・その他の労働条件を書面にて交付しなければなりません(労働基準法 第15条)。使用者がその義務を怠っている場合、求人広告や求人票記載の労働条件が契約の内容となります。また、派遣スタッフには「就業条件明示書」の交付が必要です。

特に<書面によらなければならない事項 >は、@労働契約の期間 A 就業の場所・従事すべき業務 B始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働(早出・残業等)の有無、休憩時間、休日、休暇、交替勤務などに関する事項 C賃金の決定、計算・支払い方法および・支払い時期 D退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

 労働条件通知書・就業条件明示書は、あなたと会社との労働契約書です。手渡されたらその内容をすみずみまで確認しましょう。また、就業中にトラブルが発生した場合には「就業規則」や給与明細等とならぶ重要な書類となりますので、きちんと保管し、いつでも取り出せるようにしておくことです。

有期の雇用契約を更新するとき、終了するとき ・・・

◎継続勤務

 継続勤務であるかどうかは、社会保険・雇用保険の加入や有給休暇等の取得条件にも関わる事項です。通常は、勤務の実態からみて労働契約が継続していると判断できれば継続勤務であると言えます。期間の定めのある契約を繰り返す場合には、契約期間終了後に短い間隔があったとしても、必ずしも継続勤務が中断しているとは言えません。また、登録型派遣で短期契約を繰り返し更新したり、途中で派遣先が変わっても、短い間隔で次の派遣先に派遣されていれば継続勤務であるといえます。

◎解雇、退職 勧奨(かんしょう)

解雇には、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇があります。労働者を解雇するには、“客観的に合理的な理由”が必要です。また、少なくとも30日前に解雇予告をするか、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払わなくてはなりません(労基法第20〜21条)。 

 一方的な解雇通告ではなく、「辞めてくれないか」と言われただけなら、それは退職勧奨であり応じる必要はありません。「考えさせてください」などとその場はかわして、すぐ「はけん・パート関西」に相談しましょう。

止(やとい)め で注意すること

 雇止めとは、有期雇用契約の満了を意味します。しかし、何度も雇用契約を更新し、事実上、期間の定めのない雇用契約と同じような状況にある人の「雇止め」は、解雇と同様と考えられる場合があり、解雇の手続きが必要とされます。 また“客観的に合理的な理由”が無ければ無効です。

 派遣に多い相談ですが、1年を超えて契約が更新されている労働者が、雇止め(更新拒否)された場合、文書での理由の明示を請求できます。