神戸市水道サービス公社に於ける嘱託職員に対する雇止め問題/報告

既に神戸新聞で紹介されました神戸市外郭団体である神戸市水道サービス公社に於ける非正規職の嘱託職員に対する雇止め問題です。

昨年6月下旬、公社当局から契約更新拒否の事前通告が該当する嘱託職員に対して行なわれました。そのうちの4人が当労組「あぱけん神戸」に加入してその選別解雇を止めるように求めて、これまで公社との団体交渉を4回重ねて来ましたが、昨年9月末で雇用継続されていました13人ほどの嘱託職員のうち、「業績の悪い」?4人を選別して、解雇しました。

更に、昨年末12月5日の第4回団交に於いて、責任者と名乗る前田薫常務
理事(本庁神戸市水道局から出向)が、「競争入札で落札出来なかったことにより、大幅に業務量が減ったので、来春4月(2019年3月末)から、業務量に見合った人員に見直す事は否定しない。ついては現在の8人を4人減員する見通しである。」との回答を行なっています。そして、契約更新手続きを今年2月下旬までには、嘱託職員と個別に面談を行なった上で、本人には予告する予定である事も発言していました。

私たちは水道業務を委託発注し競争入札を行なっている神戸市水道局の事実上の事業主責任」を追及すると共に、神戸市出向職員約8人)の業務責任および雇用責任を問題にして来ました。

併行して市会議員である粟原富夫さんに力を借りて、神戸市水道局と神戸市長らによる競争入札制導入の結果として労働ダンピングが発生しており、外郭団体の非正規・有期契約職員の雇用が奪われている現実を知らせて、これを契機に競争入札制度の見直しや直営化や、或いは「公契約条例」の制定などをもって、雇い止め解雇を回避させるための申入れを行ないました。

今年1月29日に今回の神戸市水道公社での嘱託職員の雇止め解雇問題で、粟原議員の紹介で神戸市水道局に対して、口頭および文書で申入れました(※別添『質問・回答申入書』)。ところで、神戸市水道局は当初から契約更新問題での団交申入れを拒否していますが、上記の事業発注主としての回答要求にたいしても「水道局は労基法および労組法上の<使用者>に該当しませんので、雇用上の問題についてはお答え致し兼ねる」との不誠実な文書回答でした。

3月1日には神戸市水道サービス公社と第5回目の団交を持ちました。この席で公社側は2月26日に、勤務する嘱託職員に対して個別に面談して、雇用契約の更新予定者には意志更新の有無確認を行なったと発言しました。

契約を更新する者は5人で、そのうちあぱけん加入の3人には更新予定であると通告したとのことでした。そのほか、対象嘱託職員1人には雇止めを通告したとも発言していました。 残る2名の嘱託職員のうち、1人は2月末で退職し、他1人は3月末での退職を表明したとも説明しました。それは、働く意欲を失くした職員に辞めるように仕向けて行った水道公社の不当な対応の結果に他なりません。

これに対して組合からは2月26日に、前田信仁技術力強化担当課長が口頭で当該職員らにした説明(下記内容)については問題があるから、撤回もしくは検討し直して組合に対して回答するよう要求しました。

26日、前田課長は組合員に対して、「これまでの雇用契約内容に含まれていることで問題ないが、人員が減ってきた(? 雇止めした結果だ!)ので、
今後は土日、祝日および夜間の緊急時には出勤し対応してもらうことも含まれる。ついては、例えば 当番制またはシフト制で勤務に入ってもらうことになる。」との説明を行なったことが明らかになりました。

組合は、雇用契約書には、その所定時間外の業務の説明も明示もされておらない上、労働時間の一方的変更の追加提案は不利益変更であり、問題あるので撤回するよう要求しました。

交渉責任者である水道公社の前田薫常務理事は、「専門家や弁護士などに相談の上、組合にも回答する。」事を約束しました。

その後、3月15日付で水道公社は、Fax+文書回答(添付)してきました。
(1)36協定を締結する手続きとして、労働者代表の選任等の手続きを現在進めている。
(2)また、3月22日の団体交渉日前に、職員との雇用契約締結交渉を行う予定である。
と、上記の連絡をしてきました。

3月22日の団交では、このような手続き的な瑕疵を含めた問題点が交渉議題になりました。公社は、「①漏水事故などが発生した場合、時間外労働は貴組合員以外の職員で対応する。②就業規則については、今週、従業員の代表の意見聴取を行ない、神戸西労基署に提出した。」と回答しました。

この回答で、■就業規則については、過半数の労働者の代表の意見聴取を行なっていなかった事実を認め、■今回、嘱託職員の雇用契約更新に際して休日・時間外労働の提示と押し付けについては、組合員には時間外労働をさせない事を認める結果となりました。

これは、①当該組合員を中心とする6回にわたる団体交渉での問題追及や、②4回に亘る本庁神戸市役所および須磨区鷹取地区に事務所を構える「水道サービス公社」に対して行なった抗議情宣、③粟原富夫市会議員を介して取り組んだ発注元神戸市水道局に対する申入れなどを取り組んだことの成果であったと考えています。

現在、Kさんを含む嘱託職員3人が、4月以降6ヵ月間の契約更新となりました。これまでの闘いに参加・支援とカンパを寄せて下さった皆さんにお礼を申し上げて、以上、取り敢えずの報告とします。

2019年4月20日

あぱけん神戸(アルバイト・派遣・パート非正規等労働組合)

  ※参考資料/『質問・回答申入書』 2019年1月29日付

神戸市水道局長  広瀬 朋義様
神戸市水道サービス公社嘱託職員  K、 A、 O
アルバイト・派遣・パート非正規等労働組合

前略  私たちは神戸市水道サービス公社(「水道サービス公社」と記す)に雇用される嘱託職員および、私たちが加入するアルバイト・派遣・パート非正規等労働組合(「あぱけん神戸」と記す)です。

私たち神戸市水道サービス公社に有期雇用契約で雇用される嘱託職員は、委嘱期間が1年間で、60歳に達した年度まで更新出来ると就業規則に定められています。担当業務は貴水道局が管理され、業務委託発注されています水道メーターの取替が主な仕事です。

ところが、昨年(2018年)6月27日、水道サービス公社の責任者から水道メーター取替に従事している嘱託職員に対して、「全員の雇用の継続は難しい。この先、契約更新出来なくなる職員を雇い止め(契約終了通告)する個別面談(人選)を進めていく。」との通告を行いました。その後8月下旬に、就業規則に規定する契約期間の途中の6ヶ月を以て、4人に対して契約終了通告が行われ、雇い止めされました(うち1人は退職に応じたとの公社報告)

その理由として水道サービス公社は、この間継続する業績悪化と基幹事業における民間企業(神戸市管工事業協同組合およびポートスタッフ【株】)との競争の激化、その結果6月に行われた垂水および西部センター管内のメーター取替業務にかかる貴水道局発注の業務委託契約の競争入札おいて、落札し損ねたこと等を挙げています。

その後、水道サービス公社の前田薫常務理事は、昨年末12月5日の当組合との交渉の席で、私たち当該嘱託職員およびあぱけん神戸」からの「次回の雇用契約更新時も更に雇い止め通告を行うのか?」の質問に対して、「次年度の業務量が減る事は確実。業務量に見合った陣容で対応せざるを得ない。競争入札制度が見直される話は無いし、メーター交換業務は価格のみで決まる。みなさんに雇用不安があることは理解しているが、申し訳ない。」と答えました。

言うまでもありませんが、この間、公社が主要三事業と位置づける「期間満了メーター取替・検針・料金未納整理」事業のいずれにおいても、民間との競争制導入がはかられることとなった結果、業務量が縮小し収益が悪化して今日に至っています。

このように水道公社に勤務する従業員、とりわけメータ取替業務に従事している私たち嘱託職員は現在、次は誰が雇い止めされるのか?自分は大丈夫か?と、非常に不安定な雇用環境の下に勤務しています。因みに私たちの組合員の大半は神戸市民でもあります。

元来、水道サービス公社は100パーセント出資の神戸市外郭団体として発足し、現在約8人の出向職員を送り込んでいながら、経営危機の状態に至っています。そして2013年度以降、”労働ダンピング”を招く競争入札制度の導入によって、結果として水道サービス公社が基幹事業としてきたメーター取替業務の存続についても大きな不安が生じています。

以下、質問いたしますので、説明および面談の上、回答機会を設けると共に、文章にて回答いただきますよう要望します。また、この申し入れについて2月7日(木)までに、何らかの方法で連絡・回答いただきますよう併せて要望します。

[質問項目]
①神戸市水道サービス公社は、これから先も神戸市の外郭団体として、市民の生活水を守る事業を維持・存続されるのですか?
②現在、発生しています水道メータ交換業務に携わっている水道サービス公社の嘱託職員の契約更新問題に対して、事業発注者として雇用不安を解消する手立てを検討していますか?
③雇用不安を招いている水道事業の業務委託に従事する労働者の雇用環境の整備および適正な労働条件の確保について、公共サービス基本法第11条規定する改善施策を提示・説明してください。

[連絡・回答先]
アルバイト・派遣・パート非正規等労働組合(あぱけん神戸)
神戸市水道サービス公社組合員一同 /home/lin/UP/naito/
神戸市中央区楠町2-2-13 楠ヴィレッジ1F
電話 078-360-0450  Fax 078-595-9100